大相撲を見ていると、力士の髪型が少しずつ違うことに気づくことがありますよね。
「大銀杏とちょんまげは何が違うの?」
「大銀杏はどの力士でも結えるの?」
「普段もちょんまげではなく大銀杏なの?」
など、気になっている方も多いのではないでしょうか。
大銀杏(おおいちょう)とちょんまげは、どちらも力士を象徴する髪型ですが、髷(まげ)の形だけでなく、結える力士や使われる場面にも違いがあります。
基本的に大銀杏を結うのは十両以上の関取です。一方、幕下以下の力士はちょんまげを結います。
ただし、関取だからといって、いつも大銀杏で過ごしているわけではありません。稽古や日常生活では、関取もちょんまげで過ごしています。
この記事では、大銀杏とちょんまげの違いをはじめ、結える階級や場面による使い分け、髷の歴史、床山の仕事までわかりやすくご紹介します。
大銀杏とちょんまげの違いをわかりやすく比較

大銀杏とちょんまげの大きな違いは、まず見た目にあります。
大銀杏は髷の先を大きく広げた華やかな形をしていますが、ちょんまげはそれよりもシンプルに髪をまとめた形です。
さらに、見た目だけではなく、結える力士の階級や使われる場面にも違いがあります。
まずは、それぞれの特徴から見ていきましょう。
大銀杏は髷の先をイチョウの葉のように広げる
大銀杏は、頭の上でまとめた髪の「はけ先」を大きく広げた髪型です。
この広げた部分がイチョウの葉のように見えることから、「大銀杏」と呼ばれるようになりました。
本場所の土俵入りなどで関取を見たときに、髷の先が扇のように大きく広がって見えるのが大銀杏です。
力士らしさを感じさせる、とても印象的な髪型ですよね。
ちょんまげは髪をまとめたシンプルな髷
ちょんまげは、大銀杏のようにはけ先を大きく広げず、髪を頭の上でまとめた髷です。
大相撲では、幕下以下の力士が基本的にこの髪型で土俵に上がります。
また、十両以上の関取も、稽古や日常生活では大銀杏ではなく、ちょんまげで過ごします。
そのため、
「大銀杏=関取の特別な場面で見られる髪型」
「ちょんまげ=普段から使われる基本的な髪型」
と考えると、イメージしやすいでしょう。
大銀杏とちょんまげでは結う力士や場面も異なる
大銀杏とちょんまげは、単にデザインが違うだけではありません。
大銀杏は基本的に十両以上の関取が出場するときに結う髪型です。
一方、幕下以下の力士は基本的にちょんまげを結います。
さらに関取でも、稽古や普段の生活ではちょんまげにするなど、場面によって使い分けられています。
大銀杏とちょんまげの違いを一覧表で比較
違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| 比較するポイント | 大銀杏 | ちょんまげ |
|---|---|---|
| 髷の形 | はけ先を大きく広げる | シンプルに髪をまとめる |
| 主に結う力士 | 十両以上の関取 | 幕下以下の力士 |
| 関取の場合 | 本場所や公の場など | 稽古や日常生活など |
| 見た目 | イチョウの葉のような形 | 比較的小ぶりでシンプル |
こうして比べてみると、形だけでなく「誰が、いつ結うのか」という点にも違いがあることがわかります。
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大銀杏を結えるのは基本的に十両以上の関取

大銀杏は、すべての力士が通常の取組で自由に結える髪型ではありません。
基本的には、十両以上になった力士が結う髪型です。
日本相撲協会の力士規定では、十両以上の力士は出場する際に大銀杏に結髪することが定められています。
十両以上の力士は「関取」と呼ばれる
大相撲の番付は、上から幕内、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口と続きます。
このうち、幕内と十両の力士は一般に「関取」と呼ばれます。
幕下から十両へ昇進すると、大銀杏を結えるようになることも大きな変化のひとつです。
そのため、大銀杏は関取を見分けるひとつのポイントにもなっています。
幕下以下の力士は基本的にちょんまげを結う
幕下、三段目、序二段、序ノ口の力士は、基本的にちょんまげで取組に臨みます。
相撲を初めて見ると、
「髷の形が違う力士がいるのはなぜ?」
と思うかもしれません。
そんなときは、髷を見ると番付の違いを知るヒントになります。
現在の大相撲では、十両以上は大銀杏、幕下以下は丁髷という形が基本になっています。
幕下力士でも十両との取組では大銀杏を結うことがある
基本的に幕下以下はちょんまげですが、例外もあります。
本場所では、休場者の状況や番付の入れ替えに関わる取組などで、幕下の力士が十両の力士と対戦する場合があります。
このように幕下力士が十両の取組に登場するときには、大銀杏を結って土俵に上がることがあります。
普段はちょんまげの力士が大銀杏になっているので、相撲に詳しくなってくると、こうした違いを見るのも楽しみのひとつになりそうですね。
弓取り式や初切などでは幕下以下も大銀杏を結う場合がある
幕下以下の力士でも、大銀杏を結う機会はあります。
たとえば、弓取り式や巡業などで披露される初切(しょっきり)を務める場合です。
日本相撲協会では、十両との対戦時や弓取り式、初切などを、幕下以下の力士が大銀杏を結う例として紹介しています。
「大銀杏は絶対に十両以上しか結えない」というわけではなく、場面によって例外があるということですね。
新関取でも髪の長さによって大銀杏を結えないことがある
十両に昇進すると大銀杏を結うことになりますが、昇進すれば必ずすぐに大銀杏にできるとは限りません。
特に昇進のスピードが早い力士の場合は、大銀杏を作れるほど髪が伸びていないことがあります。
日本相撲協会の説明でも、髪が大銀杏を結える長さに達していない場合は例外になるとされています。
番付だけではなく、髪の長さも関係しているのですね。
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関取は大銀杏とちょんまげを場面によって使い分ける

十両以上の関取になると大銀杏を結えるようになります。
ただし、関取が朝から晩まで大銀杏で過ごしているわけではありません。
大銀杏とちょんまげは、場面によって使い分けられています。
本場所の取組や土俵入りでは大銀杏を結う
本場所で関取が取組に出場するときは、大銀杏を結います。
力士規定でも、十両以上の力士は出場に際して大銀杏に結髪することが定められています。
テレビ中継などで十両や幕内の取組を見ると、大銀杏をじっくり確認できます。
また、十両や幕内の土俵入りでも、大銀杏を結った関取が並ぶ姿を見ることができます。
公式行事など公の場でも大銀杏を結うことがある
大銀杏は、本場所の取組だけで見られる髪型ではありません。
関取は、公の場に出る際にも大銀杏を結う習慣があります。
そのため、大銀杏には関取らしい華やかさや格式を感じる方も多いでしょう。
稽古や日常生活ではちょんまげで過ごす
一方、稽古や日常生活では、関取もちょんまげで過ごします。
「十両になったら、ずっと大銀杏なのかな?」
と思ってしまいそうですが、実際にはそうではありません。
巡業などでも、取組を終えた関取の大銀杏を床山がちょんまげに結い直すことがあります。
大銀杏とちょんまげは、関取にとって場面に応じて使い分ける髪型なのです。
横綱や大関も大銀杏を結う
大銀杏を結うのは十両の力士だけではありません。
対象は「十両以上」なので、幕内の力士はもちろん、小結、関脇、大関、横綱も大銀杏を結います。
「大銀杏=十両の髪型」ではなく、関取が本場所などで結う髪型と覚えておくとわかりやすいでしょう。
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大銀杏とちょんまげの歴史や名前の由来

力士といえば大銀杏やちょんまげというイメージがありますが、この髪型が最初から現在と同じ形だったわけではありません。
時代とともに髷の形も変化してきました。
歴史を知ると、大銀杏を見る楽しみが少し増えるかもしれません。
大銀杏の名前は髷がイチョウの葉に似ていることに由来する
「大銀杏」という名前は、髷のはけ先を広げた形がイチョウの葉に似ていることに由来します。
漢字だけを見ると木の名前のように感じますが、実際に髷を正面や横から見てみると、葉を広げたような独特の形をしていることがわかります。
大銀杏という名前を知ってから土俵入りを見ると、
「たしかにイチョウの葉みたい」
と感じられるかもしれませんね。
江戸時代の力士は武士に準じた髷を結っていた
現在では力士ならではの印象が強い髷ですが、昔から力士だけがこのような髪型をしていたわけではありません。
江戸時代には、その時代の習慣や流行に応じて、さまざまな髷が結われていました。
また、多くの力士が大名に召し抱えられて武士の身分となったことから、武士に準じた髷を結っていたとされています。
大銀杏は幕末ごろから広まり始めた
現在では相撲の象徴ともいえる大銀杏ですが、昔からずっと現在と同じ形だったわけではありません。
日本相撲協会によると、大銀杏は幕末ごろから流行し始めた髷とされています。
長い相撲の歴史から見ると、大銀杏が現在の形として定着したのは比較的新しい時代なのです。
明治中期ごろに力士の標準的な髷として定着した
幕末ごろから広まり始めた大銀杏は、その後、明治中期ごろになると力士の標準的な髷になっていきました。
それ以前には、その時代の流行に合わせてさまざまな髷が見られました。
現在のように「関取といえば大銀杏」というスタイルができあがるまでには、長い変化があったということですね。
昔の力士には大銀杏以外にもさまざまな髷があった
昔の力士の絵などを見ると、現在とは違う髷を結っていることがあります。
これは間違いではなく、当時は時代の風俗や流行に合わせてさまざまな形の髷が使われていたためです。
大銀杏が標準的になったあともしばらくは「栗髷」など、ほかの髷も残っていました。
昔の相撲絵を見る機会があれば、髷の形にも注目してみるとおもしろいですよ。
現在では力士を象徴する髪型として受け継がれている
現在の大相撲では、十両以上の大銀杏と幕下以下のちょんまげが代表的な髪型となっています。
大銀杏やちょんまげは、土俵や化粧まわしなどと同じように、大相撲らしさを感じさせてくれる文化のひとつです。
何気なく見ていた力士の髪型にも、長い歴史が受け継がれているのですね。
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大銀杏やちょんまげは床山が結い上げる

大銀杏やちょんまげは、力士が自分で簡単に結んでいるわけではありません。
力士の髪を専門に結う「床山(とこやま)」という職人がいます。
大相撲を見るときは力士に注目しがちですが、その髪型を支えている床山も相撲文化には欠かせない存在です。
床山は力士の髪を結う専門職
床山は、大銀杏やちょんまげなど、力士の髷を結う専門職です。
日本相撲協会に所属し、それぞれの相撲部屋などで力士の髪を整えています。
ちょんまげも力士が一人で結うのではなく、床山によって形を整えてもらいます。
大銀杏やちょんまげの美しい形は、床山の技術によって作られているのです。
びん付け油や櫛を使って髪を整える
髷を結う際には、櫛や髪をまとめるための油など、さまざまな道具が使われます。
相撲の髷で使われる油は「すき油」や「びん付け油」と呼ばれることがあります。
ちなみに「びん付け」の「びん」は容器の瓶ではなく、髪の左右の部分を表す「鬢(びん)」という言葉からきています。
言葉の意味を知ると、床山の仕事にも少し親しみを感じられますね。
大銀杏は髷の先を広げて独特の形に仕上げる
大銀杏では、まとめた髪の先をイチョウの葉のような形に整えていきます。
大銀杏には「髷棒(まげぼう)」と呼ばれる専用の道具も使われ、左右や後ろの部分を張り出すように形を整えます。
一見するとシンプルに見える大銀杏ですが、細かな工程を重ねながら独特の形が作られています。
大銀杏を美しく仕上げるには床山の熟練した技術が必要
大銀杏は、髪をまとめて先を広げれば完成するというものではありません。
左右の形や髷全体のバランスを見ながら整える必要があり、床山の経験と技術が求められます。
日本相撲協会によると、大銀杏を結うことができる床山について明確な階級上の決まりはありませんが、実際に技術を身につけるには長い経験が必要とされています。
土俵入りなどで美しく整った大銀杏を見るときは、床山の仕事にも注目してみたいですね。
入門直後は髪が伸びるまで髷を結えないこともある
相撲部屋に入門したからといって、最初からちょんまげを結えるわけではありません。
髷を作るには、ある程度の髪の長さが必要です。
日本相撲協会の新弟子向け資料でも、髪が伸びてから髷を結えるようになることが紹介されています。
そのため、新しく入門した力士を見ると、まだ髷を結っていないことがあります。
髪が伸びるとちょんまげを結えるようになる
髪が十分な長さになると、床山にちょんまげを結ってもらえるようになります。
入門したばかりの姿から、やがてちょんまげ姿になる様子は、力士の歩みを感じられる変化のひとつです。
そして番付を上げて十両へ昇進すれば、次は大銀杏を結う立場になります。
十両以上になると大銀杏を結う機会が生まれる
ちょんまげを結って土俵に上がっていた力士が、十両へ昇進すると大銀杏を結うようになります。
そのため、応援していた幕下力士が初めて大銀杏姿で登場すると、昇進を実感する方も多いでしょう。
髪型の変化も、大相撲ならではの楽しみ方のひとつといえそうです。
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まとめ|大銀杏とちょんまげは形・階級・使われる場面が違う

大銀杏とちょんまげは、どちらも力士を象徴する髪型ですが、形や結える階級、使われる場面に違いがあります。
大銀杏は髷のはけ先をイチョウの葉のように広げた髪型で、基本的には十両以上の関取が本場所などで結います。
一方、幕下以下の力士は基本的にちょんまげを結い、十両以上の関取も稽古や日常生活ではちょんまげで過ごします。
また、幕下以下でも十両との取組や弓取り式、初切などでは大銀杏を結う場合があります。
大銀杏は昔から現在と同じ形だったわけではなく、幕末ごろから広まり、明治中期ごろに力士の標準的な髷として定着しました。
そして、大銀杏やちょんまげを美しく結い上げているのが、髪結いの専門職である床山です。
次に大相撲を見るときは、取組だけでなく力士の髷にも注目してみてください。
「この力士は大銀杏だから関取なんだ」
「普段のちょんまげとは形がこんなに違うんだ」
とわかるようになると、これまでとは少し違った視点から大相撲を楽しめるようになりますよ。

